本と新しいメディア、辞書と電子辞書(2003年1月)

2003年元旦の朝日新聞に河合隼雄氏の言葉が載っていました。
辞書と電子辞書の違いをうまく表現しているのでとてもうれしく思いました。

生徒たちは面倒くさいのがいやなのと新し物好きで電子辞書をよく使いますが、私は使い古した辞書の方を好んで使っています。
英単語をひくとき、もちろんお目当ての単語は調べますが、そのページにある、前にひいた他の単語や、絵、添え書き、よごれ、においなどが総合的に印象に残り、記憶にとどまることがあります。
そしてそういった言わば2次的なものが、かえって新しい視点を与えてくれたり、次のステップの道筋をつけるときがあるのです。
そしてそういう無駄なものがかえって愛着となってきます。

この事を河合氏は「例えばコンピュータの場合には、私が好きなものを自主的になんでも検索できるわけです。
しかし逆に言えば、自分のほしい情報しか出てこない。
検索する場合は、知識というものが私の考えている範囲に限定されてくる、なんか小さいんですよ。」と説明しているのです。

コンピュータを初めとする電子メディアの出現で、今まで気付かなかった、無駄と思っていたものに意味があることに大いに驚かされ、改めて周りを見回す必要性を感じました。
また、新しいものを取り入れると何かを失う、その失うものをよくよく承知して対処する必要があると痛切に感じました。

Miyachi-Zemi

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