目標は25・28歳の理想の自分(2007年10月)

学力をいかにつけるか。どの学校でもいろいろ工夫していますが、大学卒業後の25~28歳の時点でどう生きていたいかを想定して、そこから換算して今どの進路をとるか、何をしなければならないかを考えさせ、行動させようとしている学校があります。
東京家政大学附属女子中学高校ではヴァンサンカン・プログラム(25歳プラン)、品川女子学院では28プロジェクトを行っています。

先日、学校説明会に伺った品川女子学院での28プロジェクトの説明を見てみましょう。
「このプロジェクト下では、28歳をひとつの指標としています。女性の場合、一般的に、22歳で大学を卒業し、企業などへ就職。25歳前後から仕事が板につき始め、28歳くらいで少しずつ責任ある立場へと転じていきます。またこの時期は概して結婚・出産など人生の転機も多い時期です。ここでキャリアを一時中断し、出産から子育てへと身を移した場合、再就職時には「高い能力」「専門的な技術力」というものが要求されてきます。そのときにも、自らの手と意志で進路を決めることのできる能力を、品川女子学院は6ヵ年の教育で培おうとしているのです。」

この趣旨に則って、企業と製品を共同開発する企業化プログラムというキャリア教育も行っています。
眠眠打破と桃恋茶という製品を企業と生徒が一緒になって作りました。作っていくうえで、コミュニケーション力、特に仲間内だけでない大人とのコミュニケーション力と、実践的なプレゼンテーション力をつけてきたことが紹介されました。
もちろん一握りの生徒がこういう体験をしたのでしょうが、貴重な社会体験であり、これからの大きな動機付けになったことでしょう。

特に公立の中学生、高校生に将来何をやりたいかを尋ねても、「わからない」あるいは「何もしたくない」と答える生徒が多いのは困った傾向です。
「ゆとり教育」がいつしか「ゆるみ教育」に変容して、時間はあるけれど、その時間を何もせず、有効に使わないという怠惰の習慣が身についてしまった生徒が多いのです。
やはり、ある程度厳しくして、その状況をどうやって克服していくかを自ら考え出させることが、問題を発見し解決する能力を身につけさせる実践的な方法なのではないかと思います。
そして中学生高校生にはそれができるのです。
ゆるんだ状況の中ではこの力は決して湧き出てきません。

公立の学校でも実際に数日間社会に出て、実際の企業なり商店なりで働かしてもらうキャリア教育が行われています。
これは大変有意義な活動で、ぜひ本腰を入れて教育プログラムの中に取り入れられるといいのではないかと思います。
大人になってからの自分はどうありたいか、その職業に就くにはどう進路をとったらよいか、何を勉強したらよいか、実際にナマで体験することによって鍛えられると思います。

Miyachi-Zemi

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