学習することに対しての価値観(2004年9月)

前回ご紹介した市川伸一著「学ぶ意欲とスキルを育てる」(小学館)の中にもう一つ興味深いテーマがあります。
それは補章として最後に載っている片岡輝氏との対談の中にある、「就学前の子供たちに対して、親はどのように接したらいいのでしょうか。」というテーマです。
この質問に市川氏は、人の言っていることを理解する、自分の言いたい事を表現する「コミュニケーション力」をつけることと、「学習するということに対する価値観」を大人が見せることを挙げておられます。

コミュニケーション力は、子供のころからの親とのやりとり、家庭内でのやりとり、、友達たちとのやりとりなどで、大きく能力が違ってきてしまう。
筋道立てて話をすることや、こんな話し方だったら、相手はどんなふうに理解するだろうかということを推測しながらコミュニケーションすることはとても大事だ。ケンカの中でも、できるだけ論理立てて自分の言っていることが正しいということを主張できるように話を組み立てようとするのも大事な能力。
そういうことが背景になって小学校に進んで、授業で先生の言っていることを理解したり、友達とのやりとりをしながら勉強を進めることができる。
「学習するということに対する価値観」は、大人が本を読んだり、テレビでも教養番組やニュースなどを興味深く見ている姿を見るということが子供にとって大事だ。
大人が本を読んでいると「本というものは大事なものらしい、価値があるものらしい」と思って、子供も本を読みたくなる。
大人がそういう価値観を見せるということが幼児期にはとても大事だ。

それはつまり、「学習しようという意欲」を引き出すことで、それが就学前にうまく引き出されないまま育った子供は小学校にいくスタート時点でかなり違いが出てくる。
親が十分な教育投資をするといったことよりも、親の文化的環境、勉強するということに対する親の価値観、そして、コミュニケーションの交わし方、これがかなり効いていると言われている。

とても興味深いお話です。
ことに私が注目しているのは、就学前の幼児期に「学習することに対する価値観」を身に付けていることが大事だというところです。
つまり、「学習することに対する価値観」は幼児期を過ぎて年齢が上がってしまってからでは、なかなか付きにくいということなのでしょう。
最近はテニスがあるのでとか、旅行やお食事に行くので勉強をお休みします振替授業をお願いしますというご家庭が増えました。
もちろんいろいろと都合があるでしょうが、子供の価値観の形成ということを考えて、できるだけ勉強優先ということ考えていただきたいと思っています。
もちろん過ぎたるはなお及ばざるが如しで、いつもお受験ばかり優先していてもいけないし、親の私がこの程度だからと諦めてしまうのもいけない、難しいけれども親自身が自分でバランスを考えていくことが子供の成長にとって非常に大事であると思いました。

Miyachi-Zemi

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