地域間学力差と内申バブル(2004年7月)

東京都教育委員会は2004年2月に都内の中学2年生(現中学3年生)を対象とした「児童・生徒の学力向上を図るための調査」を行い、その結果をホームページで公表しています。
科目は国数英理社の5教科で、意欲・知識・思考・表現など細かく分類して発表しています。
ここでは、全体的な学力(得点獲得力)を見るという観点から、各科目の全体平均点数のみを取り上げます。

次の表は発表された各教科の平均点数を足して英数国理社の5教科総合の数値を高い順から並べた結果です。
(500点満点)調査した49地区のすべての結果が発表されていますが、ここでは23区のみを載せてみました。

五科総合(都平均 372.2)
1 目黒区 398.4  2 杉並区 394.6  3 文京区 394.1  4 千代田区 393.8  5 世田谷区 391.5
6 渋谷区 388.3  7 新宿区 382.8  8 中野区 382.3  9 中央区 379.5  10 練馬区 378.7
11 豊島区 378.1  12 品川区 373.9  13 港区 373.8  14 北区 372.1  15 台東区 370.7
16 板橋区 365.5  17 大田区 363.8  18 江東区 361.7 19 江戸川区 358.9  20 葛飾区 357.4
21 墨田区 357.2  22 荒川区 355.0  23 足立区 350.5

荒川区はご覧の通り23区中22位、49地域中では44位でした。
ちなみに各教科別に見てみると、国語が23区中23位(77.0/80.5平均)、数学が22位(68.1/72.6)、英語が19位(72.3/76.1)、社会が21位(73.1/76.4)、理科が21位(64.5/66.6)という結果です。
いずれも都全体の平均に達していないばかりか下から1位2位を争う情けない結果になっているのがわかります。
これからも判るとおり、学校で平均の学力を持っていても都全体からすると平均よりかなり下の学力しかなく、入学試験のように各地からの生徒と競い合わなければならない場合は、相当頑張らないと太刀打ちできないことがわかると思います。

ある高校では、内申9教科の合計が40(通知表がオール4で5が4つ)の生徒を推薦入学で取り、改めて試験をして偏差値を出したところ、偏差値も40しかなく、あきれてしまったというのです。
また、ある高校では内申オール5の生徒が偏差値56だったとも聞きました。
偏差値は平均を50として換算した値ですから、内申のこんなに良い生徒が、学力試験では偏差値が平均より10も下だったという結果です。
内申40ある生徒は偏差値60以上とるのが普通でした。
絶対評価と地域格差が主な原因と思われます。
その高校の先生が、このことを内申バブルと呼んだのが印象に残りました。

改めて受験という観点から考えてみますと、他の地域と比べて内申点が取りやすいという点から、内申点のみでふるいにかける私立推薦入試や、内申点と試験の合計で合否判断をする都立一般入試では比較的有利と考えられます。
もっとも、私立推薦入試も基礎学力テストを行う学校が増えましたから、状況は変化しています。どちらにしても、実力がなければ入学してから追いついていくのが大変になることは想像できると思います。

都全体からみた荒川区の学力状況は、以上のような結果であり、単に学校の中での成績が良いからといって全く安心はしていられない状況にあることを、ご父兄の方は十分にご理解していただきたいと思います。
また、漢検や英検といった地域に関係なく通用する資格を持っていることも、有利な条件の1つでしょう。

Miyachi-Zemi

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