習慣の力(2003年10月)

昨年の春、小学校時代の担任の先生を祝う会に参加させて頂きました。
昔の荒川区立第一峡田小学校は、今は統廃合されて峡田小学校と名前を変えています。
私たちの担任を受け持っていただいたのは、当時大学を出たばかりの木下邦太朗先生という方でした。
木下先生を祝う会で一言思い出を語らなければならず、さて、何をと考えていろいろと当時のことを思いめぐらしました。

理科で印象に残っているのがリトマス試験紙の色の変化の覚え方。
「坊さん(酸)酒飲んで赤くなり、借金ある借り(アルカリ)青くなる」木下先生は理科のご専門。
そして、叱る時はとても厳しく、「朱に交われば赤くなる」という言葉も記憶の片隅に残っています。
しかし、肝心の授業で記憶に残っていることは、…はるか彼方にぼんやりとしてしまうのです。

替わりに、星座の観察で朝早く学校に行って屋上で観察したこと、地層の観察や化石を採集するために長瀞へ何回か出かけたこと、木下先生が創設されたといってよい荒川区の科学館での岩石プレパラート製作や解剖などのいろいろな実験、プラネタリウム観察などが強く記憶に残っています。

そして何よりも強く印象に残っているのは、木下先生の情熱です。
物事に対する飽くなき探究心とあふれ出るエネルギーです。
小学4年から6年の間に、私は先生の情熱と探究心、物事を論理的に捕らえる考え方の習慣を刷り込んで頂いたのではないかと思い当たりました。
これは具体的な知識よりももっと本質的で大切なものを頂いたと思っています。

生徒たちがこれから何十年かたって、教わった知識は薄れても、こういった目には見えない本質的なものと習慣は決して消えることはありません。
それゆえ、正しい習慣を身に付けることには特に気を使わなければならないと思っています。

特に当塾では、どうしてこうなるのかを諦めずに考え続ける「考え方の習慣」と、考えた過程を記述できる「式の書き方の習慣」の徹底をまず第一の主眼としています。
この習慣さえ身に付けていれば、学習にはほとんど困ることはないのです。
あとはいろいろな問題演習でOKです。

文字の書き順、箸や鉛筆の持ち方、美しい言葉使い、あいさつといった生活の基本となる良い習慣は、人に任せるのではなくぜひご家庭で身に付けるよう努力していただきたいと思います。
点数が取れれば書き順などどうでも良いという考えは、まさに慎むべきと考えます。

Miyachi-Zemi

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